試行錯誤が形になる
趣味と実益を兼ねた椎茸栽培
上段20m下段10mの二段で構成される滝が見どころの玖珠町の観光名所「慈恩の滝」。滝と道の駅の間の道を登っていくと、玖珠町の山浦という地域にたどり着く。山浦は大分県で唯一平成の名水百選に選ばれた「下園妙見様湧水」があるなど、まさに名水の里で、水の良さを活かした米作りや豆腐作りも行われている。
今回お伺いしたのはそんな山浦で椎茸栽培をしている「えとうしいたけ園」。3世代続く椎茸生産者だ。到着すると、ちょうど県外からのお客さんを接客中。楽しそうなので声を掛けてみた。長崎からインスタグラムで見た椎茸狩りの情報でやって来たとのこと。お子さま2人がとても嬉しそうだったので写真を撮らせてもらう。
取材終了…ではない。
ここからが本題。話を伺うのは江藤廉平さん、聖美さんご夫妻。椎茸は、始めてから収穫までの期間が2年程度かかるため、新規参入が簡単ではないので、農業の中でも少し若手が少ない分野。若い二人は今後の玖珠町の椎茸栽培を支える柱でもあるのだ。
跡を継ぐ、継がないということは関係なく、生まれた時から椎茸に囲まれて育った廉平さんは、ずっと椎茸が大好きで、大学で生物自然学部に通い、就職先の茨城県の椎茸農園で原木椎茸の栽培を6年間行っていた。そこで出会った聖美さんと結婚し、大分に戻って種菌メーカーで4年働いて実家に戻って来たのだとか。
廉平さんに椎茸の魅力について聞いてみた。
「椎茸は菌でできているので、人間の力でコントロールして栽培する楽しさがあります。色々と試行錯誤してたくさん実験して、どのような出来栄えになるかは、時間がかかってからしかわからない。品種によって栽培時期が違うし、ちょっとした変化でオリジナルのものを作れる面白さがたまりません」とのこと。
山浦地区の背中にそびえ立つ万年山由来のこの辺りの水は水温16度。椎茸栽培にふさわしい水温、13~18度で栽培するからこその地理的な恵みも椎茸栽培での挑戦の背中を押している。
夫婦揃っての椎茸好きで、仕事の楽しさに魅了されつつ色んなアクションを行っている。通常の流通は守りつつ、椎茸ファンを増やすべく、冒頭で話を聞かせていただいた椎茸狩りや、道の駅などでの直売、SNSでの発信など、本業を維持し、伸ばすために様々なアクションを行っている。
これらは2人で話し合って行っているが、職人肌の廉平さんとたくさんのアイデアを思いつく聖美さんは、同じ椎茸好きでも考え方が少し異なる。話し合いは今後のビジョンについて確実なものを作ろうとするため。もしかすると熱く話し合うこともあるかもしれないが、腹を割って話し合える相手というものは、ビジネスにはありがたく、必要なのだ。
まだ年齢的に若いので、玖珠は退屈しないのか、休みの過ごし方などを聞いてみた。
廉平さんは趣味が椎茸栽培、他には映画、ゲーム、本などを楽しむ。聖美さんはなんと実家がダンス教室で、ヒップホップ、フラメンコ、日本舞踊などを習っていたので、今はお子さんのダンスが趣味のようなものらしい。大声や大きな音を脱しても平気で、ご近所付き合いに恵まれて、子育てもしやすい環境なのだとか。
まだまだ現役の父親やアルバイトの力もあり、今では2.5ha、コマ数は50万、榾木(ほだぎ)はなんと25,000本と大規模に経営。2025年10月からは、ファーマーズスクールのコーチとして若手の受け入れを開始するなど、地域の産業振興にも大きな貢献をしている。
大分県との繋がりは、研修会の紹介を受けたり、研修の講師をやったりと持ちつ持たれつの関係だ。
最後に椎茸愛が強すぎるおふたりに、これから農業を始めたい人向けのメッセージをもらった。
「農業といってもいろんな作物があるので、一概にこれだとは言えないけど、自分がさぼるとさぼったなりのリターンしかないし、やった分は裏切らないと思います。やりがいが出来栄え、売上、感謝で表現されるので楽しいですよ。特に椎茸業界には20~30代ほとんどいないので、環境が整うのであればおすすめです」。
高齢化が叫ばれることが多い農業だが、先人たちの経験や知識をベースに、若手の柔軟な発想と工夫を取り入れることで、農業の未来は明るく、もっと儲かるものになるに違いない。
あまりお仕事の邪魔はしませんので、よろしくお願いします。
大分県は経営計画の策定から営農開始後のフォローアップまで充実した体制で就農や企業の農業参入を支援しています。農林水産業の会社に就職したい人も大歓迎です。
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