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「家族経営協定」で企業的経営を実現!
世界市場を見据えた地域を耕す農業を。

日本トップレベルの移住支援や子育て・教育支援で、毎年多くの人が移住している大分県豊後高田市は、大分県北部の国東半島西部に位置し、周防灘に面した人口約2.1万人の町です(2024年1月1日現在)。ここは「住みたい田舎ベストランキング」人口1万人以上3万人未満のまち部門で4年連続全国4冠を達成するなど、全国的に注目を集めている地域です。

この町で農業を営みながら代々白ねぎとぶどうの栽培を行ってきたのが和泉 陣(いずみじん)さんです。

和泉さんの畑が広がる呉崎(くれさき)地区は、江戸時代の新田開発で海を開拓した干拓地。その頃に和泉さんの先祖が広島県からこの地に移り住み、そこから約400年の間、先祖が切り拓いたこの土地で代々農家として地域を育んできたそうです。

和泉農園の写真
▲豊後高田市は県内有数の畑作地帯

西日本最大の白ねぎの産地として知られる大分。なかでも特に白ねぎの生産量の多い豊後高田市は、県内有数の畑作地帯として知られています。
「砂地の土壌は、水はけがよく土寄せしやすいのが特徴で、作物に適度なストレスを与える冷たい潮風は、生産物をおいしく育んでくれます」と語る和泉さんのモットーは、「農を営むことは、地域に参画すること」。
東京農業大学農学部を卒業後、平成11年、23歳の時に親元就農しました。以来、白ねぎとぶどうを育てながら、新規就農を希望する若手農家の受け入れなど、地域と人、人と農業をつなぐ役割をいくつも担ってきました。白ねぎ栽培では、機械導入を積極的に行い、省力化・効率化を推進してきました。

また、特筆すべきは和泉さんのご両親である先代が、1996年に「※家族経営協定」を結んでいたこと。協定の内容は、主に女性が働きやすい環境の実現を目指すもの。夫婦間で個々の仕事上の役割を明確にし、労働時間や休日の整備をすることで、個人経営でありながら企業的経営を行ってきました。 ※家族経営協定
家族農業経営にたずさわる各世帯員が、意欲とやり甲斐を持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指し、経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき取り決めるもの(農林水産省HPより)

和泉さんが農園の代表に就任する際には、先代からスムーズに事業を承継したことで、販路の拡大や栽培技術の向上、職場環境の改善に一層力が入ったとか。先代が築き上げてきた職場としての良い風土はそのままに、引き続き農業の現場で不便を感じやすい女性の視点で、作業場や作業動線、トイレの改善など、働きやすい職場づくりに取り組んできました。

その功績が認められ、令和2年には第51回大分県農業賞の「企業的個人経営部門」で最優秀賞を受賞します。「たとえば、ぶどうを育てる棚の高さを低くして作業をしやすくしたり、休憩室を設けたり。現場がよくなるように、少しずつ少しずつ改善してきた、その積み重ねの結果でしょうね」と和泉さん。

和泉農園の写真
▲農業の未来について話をする和泉さん。
自身の農業以外にも、後進を育てるための技術的、
精神的なサポートも行っている

現在、ぶどうは1.8ヘクタールで年間収量25トン、白ねぎは2.5ヘクタールで年間収量60トンを生産しています。農園で働くスタッフ(男性3名、女性2名)の中には、東京から移住してきたミュージシャン、インターンシップで和泉さんの農園を訪れたことをきっかけに就農したという20代のスタッフなど個性が溢れ、キャリアや世代を超えてみなさん楽しそうに働いています。

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▲ギターを白ネギに持ち替えて

和泉さん自身も音楽好きで、現場はいつも楽しげなムードが漂っています。

「前例はなくとも、絶対に作りこなす」
直感を信じたシャインマスカット栽培が功を奏す

和泉農園の写真
▲挑戦を恐れない和泉さんは、
ピオーネ、ゴールドフィンガー、ベニバラード、雄宝など、
たくさんの品種のぶどう栽培を行っている

生産者として和泉さんの農業人生に転機が訪れたのは、平成20年頃のこと。世に出たばかりの新品種シャインマスカットの大規模栽培に着手したことでした。それまで巨峰の栽培はしていたものの、その時点ではシャインマスカットの栽培方法も市場価値もまったく未知数。
しかし、和泉さんは自分の直感を信じ、いち早く巨峰からシャインマスカットへ転換を図り、栽培面積を一気に拡大するという大胆な戦略に打って出たのです。

「タネがなく、皮も全部食べられるシャインマスカット。その味を実際に自分の舌で確かめたときに“これこそ理想のぶどうだ”と衝撃を受けました」と和泉さん。

和泉農園の写真
▲和泉さんのシャインマスカットは品質の良さが評判

巨峰の栽培実績はあっても、この土地でシャインマスカットが同様に育つとは限りません。それでも思い切った行動に出たのは、「必ず作りこなしてみせる」という和泉さんの強い意思と、土地への信頼です。

和泉農園の写真
▲作業風景のひと幕。
活気のある職場で働くことはなんだか楽しい

「シャインマスカットが世間に知られるまでは、市場に出してもその価値がなかなか価格に反映されず、手間ばかりかかっていました。
それでもなんとか諦めずに作り続けた結果、あるとき一気に需要が増えたんです。そのタイミングで一気に販路を拡大できたことが今につながっています」と語る和泉さんは、「大分県シャインマスカット若手生産者協議会」の初代代表に就任。さらに「大分白ねぎ連絡協議会担い手部会」の部会長として50名弱の生産者をとりまとめながら、担い手の育成にも力を注いでいます。

そんな和泉さんは「農業参入は、地域へ参画することです」と断言します。「農業は、経験と勘だけでなく、その土地の風土をとらえながらやっていくもの。細かく天候を読んで先手を打っていかないと、その1年を棒に振ってしまいます。常に情報を集めて変化をとらえ、動くことが大切だと思います」と語ります。

和泉農園の写真
▲和泉さんのぶどうは海を越えて上海や台湾などでも販売し、
現地でも高い人気を誇る
和泉農園の写真
和泉農園の写真
和泉農園の写真

2021年からは世界市場への輸出を見据え、有機肥料で育てるぶどうの栽培にも挑戦中だとか。
「日本の果物は、香港、台湾、シンガポールなど世界市場で高い評価を得ています。今後、価値ある日本の作物を世界展開していくには、生産者同士のつながりを大事にし、組織の力も借りながら、全体で取り組んでいくことが大切だと思います。これからも精一杯農業と向き合うことで、共感してくれる人たちが農業に興味を持ってくれたら」
と士気高く語ってくれました。

農業は、個人戦ではなく、個人を取り巻く地域コミュニティ、風土、技術指導や補助金のサポートをしてくれる行政、生産者組織、天候の掛け合わせの賜物。それをしっかりと自覚して農業に取り組むことが、安定した経営への近道のようです。


大分県は経営計画の策定から営農開始後のフォローアップまで充実した体制で農業参入を支援します。大分県内の農林水産業の会社に就職したい人も大歓迎です。

詳しくは
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