メインイメージ

農業経験ゼロから売上5億円に急成長!
IT技術を活用し、次世代の農業を体現

ビジネスとして成功できる農業を

令和6年6月に、大分県中津市への進出を表明した「エフワイアグリ」。
令和7年から中津市でベリーツの生産を開始し、令和10年度からはアスパラガスの生産を予定しています。大分県で生産を開始するその前に、どのようにして事業を拡大したのか、日々の取り組みについて取材させていただきました。

エフワイアグリの写真
▲靴を履き替えて作業をする清潔な環境

思わず「お邪魔します」と言いたくなるような、清潔感のある佇まいのビニールハウス。農園の中に靴を脱いで入ったのは初めてのことでした。見せてもらったのは、冬にかけてシーズンを待ついちごの苗が並んだハウスの中。整理整頓を徹底し、汚れたら掃除機をかけるというその様子は、まさにいちごたちが健やかに育つ部屋のようです。

エフワイアグリの写真

2017年に誕生した株式会社エフワイアグリは、「未来に新しい種をまく」をコンセプトに、ベビーリーフやアスパラガス、いちごの栽培に取り組む農業法人です。取締役の各務栄作さんは、元々は製薬会社で新薬の情報提供に携わっていましたが、家業である鰻の養殖会社の新規事業として “農業”に可能性を見出し、知識も経験もないところから農業をはじめた挑戦者です。今や売上5億円、従業員も50人以上抱える企業に成長しています。

その背景にあるのは、科学的根拠を持つ持続可能な農業スタイルにあります。従来の経験と勘を頼りにした、収益性の見通しづらい体力勝負の農業ではなく、農産物を育てる過程に生じるさまざまな事象を科学的に検証し、一つひとつに規則性を見出していく農業です。

エフワイアグリの写真
▲エフワイアグリ大分の各務取締役

「これまでの農業のイメージを覆すスタイルの農業に出会い、初めてビジネスとして成功するイメージが描けました」と話す各務さん。物事を言語化し、定量的に伝え、マニュアル化を図るビジネスとしての農業に可能性を見出し、自身の生業とすることを選んだそうです。

しかし、当時の各務さんは農業について知識は皆無。栽培する野菜の種類、資材の調達、栽培方法、出荷先など、事業計画まですべて熊本県の果実堂のスタイルに学んだとか。
これまでの農業とは一線を画す捉え方の農業に挑むため、スタッフはあえて既成概念にとらわれない農業未経験者を採用。播種(種まき)から栽培、施肥(せひ)や水やりのタイミング・量まで、しっかりと技術研修を経た上で、農場に立っています。吸収力の高い素人集団が繰り広げる次世代型の農業。「そんな農業の形に、不思議と不安を感じなかったのは、僕がそれまでまったく畑違いの場所にいたからこそ、かもしれませんね」。

エフワイアグリの写真

それでもはじめは試行錯誤の連続だったと言いますが、農作物のクオリティコントロールに特化したスタイルの農業が功を奏し、ほどなく「有機JAS認証」を取得。一般的に取得に至るまでには、さまざまな条件があり、「有機JAS認証」取得はハードルが高いと言われています。
しかし、当初から有機栽培を意識した管理体制を取り入れていたエフワイアグリは認証を早々に取得。さらに厳格な審査基準をクリアした「GLOBAL G.A.P認証」も取得し、企業としての飛躍に大きな弾みをつけました。

エフワイアグリの写真

今は圃場(ほじょう)環境センサーによる遠隔管理や、IoT導入型のビニールハウスを活用した大規模なハウス栽培を展開しています。これによって年間14回転という高効率な周年栽培を実現し、大手百貨店や量販店に年間通じて安定した品質の農作物を出荷しています。
一方でITを活用した無駄のない農業は、フードロス防止にも一役かっています。
「フードロスは、無駄な作業をしていることになりますよね。圃場をきれいに保つのは、資材をできるだけ長持ちさせることにもつながります」。

エフワイアグリの写真
エフワイアグリの写真
▲ここで働く人の顔には笑顔が絶えない

【働く人の満足と、お客さまに喜んでいただける喜びを大事に】

各務さんが目指すのは、“誰でもその日から即戦力になれる農業”です。マニュアル化とは、言語化し、定量化を図ること。時間は1分単位、栄養分も1%単位で数値化し、農業という本質に向き合っています。

「そうすることで従業員の給料や年間休日、有休消化率を上げることができれば、それが僕にとってのやりがいです。従業員には、私生活で叶えたい大小さまざまな夢を何ひとつ諦めて欲しくないですね。また、量販店でお客さまが手に取ってくださっている光景を見ると、なんとも言えない喜びを感じます。取引先の方にも、うちだから仕入れたい、そう言っていただけることが何より光栄ですね」。

将来的な目標は農業法人としての高みを目指すこと。そこには常に消費者と環境を第一に考えた、ITやバイオ技術を活用した新しい農業の形があります。
今後はハウス面積の拡大はもちろん、更なる事業展開として、耕作放棄地の活用や6次産業化も視野に入れつつ、商品開発や雇用創出にも貢献していく方針だとか。
「これからも売上を伸ばし、利益を社員に還元し、社会貢献できる企業であることを目標に、真摯に農業に取り組んでいきたいですね」。

〇企業概要
農業を行う法人名 株式会社エフワイアグリ大分
参入企業名    株式会社エフワイアグリ
経営品目   アスパラガス、イチゴ
従業員数     48名


大分県は経営計画の策定から営農開始後のフォローアップまで充実した体制で農業参入を支援します。大分県内の農林水産業の会社に就職したい人も大歓迎です。

詳しくは
農林水産業・就業総合サイト「おおいたで働こう」
https://nourinsui-start.oita.jp/
のイベント情報をご覧ください。
サイト内のメールフォームからのお問い合わせも随時受付中です。